インターネットが遅い原因は幾つか考えられますが、ここ数か月に遅くなったのであれば、新型コロナの影響でリモートワークやウェブ会議、YouTubeなど動画や音声を視聴される方が増えたことによるインターネット回線の飽和が原因と考えられます。筆者の以前の環境でも通常は50Mbps程度ですが、ひどいときには1Mbpsを割ってしまうこともあります。そこで、IPv6(IPoE)環境に切り替えることで、500Mbpsといったスピードに改善する場合があります。(読者のお住いの地域や環境によって上下致します)。読者の中には無料でインターネットの遅い事象を回避できる方もいらっしゃると思いますのでご紹介します。なお、インターネットが慢性的に遅い場合は、別の問題がある場合があります。効果のない場合もありますので、読者様のご判断で実施願います。
厳密にインターネット速度を測定するには、適切な設定が必要になりますが、まずはどの程度の速度なのかを下のリンク先からアクセスして測定してみてください。
インターネットは従来の仕様であるIPv4(Internet Protocol version 4、プロトコルの一種で、OSI参照モデルにおいてネットワーク層に位置付けられるプロトコル)を使用していますが、このIPv4のIPアドレスは飽和状態にあることから、現在はIPv6へ移行しております。このIPv4環境を依然として利用している人たちの中でインターネット回線が混雑して遅くなっていることが一つ目の原因と考えられます。現在、IPv6ネットワークを利用している方は、IPv6普及・高度化推進協議会によると2020年5月時点で日本は52%(米国54%、中国23%)といわれておりますが、実質的なアクセス統計では3割程度とも言われています。従って、比較的空いているIpv6環境に移るだけでもこの混在を回避できます。IPv4とIPv6の違いは、IPアドレスの数の違いであって、通信速度の違いではありません。IPv6が速いと言われる理由は通信手段の違いです。IPv4はPPPoE(イーサネットフレーム上にPPP(Point-to-Point Protocol)フレームをカプセル化するための通信プロトコル)という通信手段であり、IPv6は、IPoE(IP over Ethernet)という通信手段を使用しております。PPPoEは、通信相手とをIDとパスワードの認証を行う一方で、IPoEはその必要性がないので、認証処理の混雑を回避できます。その処理の差が二つ目の原因と考えられます。このため、IPv6(IPoE)に設定変更するだけでも効果がある可能性があります。
・IPv4は、PPPoE接続方式
・IPv6は、IPoE接続方式
日本のIPv6化は進んでいる方ですが、世界に転じてみれば、まだまだ普及しておりません。そこで、IPv6利用者向けに、IPv4 over IPv6というサービスで、従来のIPv4に接続できる方法を提供しています。これは自動的に行われますので利用者は意識する必要はありません。当然ながら、IPv4環境へダウングレードしますので、利用環境や接続先のサイトによっては若干遅くなる場合があります。このIPv4 over IPv6は、V6プラス、transix、IPv6オプション、 IPv4ハイブリッドサービスなど、インターネット接続事業者によって呼び名が異なります。独自の技術も併用しており、必ずしも同一の技術でない場合もあります。このことから、最初に申し上げました通り、高速化のメリットを享受できるかどうかは、接続環境によるということになります。
さて、自分が使用しているインターネット環境はどちらなのか調べてみてみましょう。この方法も完璧なものではありません。正しく表示されない場合もありますので、いくつかの方法で確認してみてください。どうしても分からない場合は、契約先の通信事業者に問い合わせてみてください。なお、IPv6画面であっても、IPoEなのかIPv4 over IPv6なのかの判断はつきません。また、ネットワーク通信環境にIPoEに対応していないWi-Fiルータなどがあると、IPv4 over IPv6接続になってしまいますので、ご注意ください。
幸いなことにIPv6(IPoE)への変更は、かつては有料オプションでしたが、今では無料で提供されていることが多いです。しかも、ウェブサイトから、オプションの追加申請をするだけで、数日後には自動的に変更されることが多い様です。主要なインターネット接続事業者の申請方法をご紹介します。また、乗り換えキャンペーンなどもありますので、この際見直しすることも一考かと思います。