次世代電源アダプタで高速充電 Update:2020.7.10

     充電器の半導体素材には主にシリコンが用いられてきましたが、デジタル機器の発展に伴い、より高いエネルギー効率と製品の小型化への要請が強まるなか、シリコン半導体では限界に達しつつあります。もしこれまで通りシリコン半導体を用い、より大きな電力を供給できる充電器を作ろうとすると、電力のロスで熱くなり、大きな放熱板を内部に設ける必要があることから製品の大型化は避けられません。そこで、シリコンに代わる素材として窒化ガリウム(GaN)が生まれました。窒化ガリウムは材質の特性として電力の損失が少ない高エネルギー効率の半導体を設計することができる上、発熱も低く抑えられるため、結果としてUSB充電器を非常に小型化することを可能になりました。

     タブレットや薄型パソコンの電源アダプターもUSB-PD(Power Delievry)が主流です。しかしながら、必要な電源容量が大きいことから、従来のシリコン系半導体では、電源アダプターが大きくならざるを得ません。また、スマートフォン(アンドロイド)のアダプターもUSB-PDが主流ですから、電源容量の大きい小型の電源アダプター1つを共有できることは、利用者にとってはとても歓迎すべきことです。しかも従来のアダプターでは、5W~10W程度の出力でしたが、最大で100Wの仕様(当面は30W程度が主流に販売される)となっているので、充電時間も数倍の速さで可能となります。なお、USB-C(Type-C)とは、形状が同じですが、必ずしもUSB-PD対応かどうかはわかりませんので、製品仕様をよく確認してください。また同様にAppleで採用されているLightning端子は、ワイヤレス化の方向であり、多くのITデバイスは実質的にはUSB-PDに統一されていくと思われます。

     電源容量が大きくなるということは、流れる電流も多くなり、規格を満たさない器具を使用し続けると発火などの大事故に繋がる恐れがあります。今まで使ってきた古いコード類をそのまま使用する場合は、使用条件を満たされていることを確認してから使用するようにしてください。購入時の箱や説明書を紛失してしまった場合は、大事をとって規格を満たした純正品を購入するようにしてください。また、インターネットで格安の海外製品が販売されているケースもあります。日本の認証を受けていない製品もありますので、お気を付けください。

     EUは電子機器における無駄を減らし、消費者の生活を少しでも楽にするために、すべての携帯電話や電子機器の充電器が共通の規格を採用することを電子機器メーカーに強いる法案を審議しています。利用する私たちも、ごみ削減、高効率な機器を長く共通的に使用するスマートな消費者になりたいと思います。

 
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